ポリパテ(ポリエステルパテ)の原材料と化学構造を大阪の補修屋さん目線で解説
ポリパテ(ポリエステルパテ)の原材料と化学構造を大阪の補修屋さん目線で解説
ポリパテ(ポリエステルパテ)は、自動車補修・建築補修・木部補修などで広く使われる二液硬化型充填材です。
ここでは「原材料レベル」で詳しく解説します。
■ ポリパテの基本構成
ポリパテは大きく分けて
- 主剤(ベース)
- 硬化剤(触媒)
の2つで構成されています。
■ 主剤の原材料
① 不飽和ポリエステル樹脂(Unsaturated Polyester Resin)
ポリパテの“骨格”となる成分。
原料となる化学物質
- グリコール類(例:プロピレングリコール)
- 無水フタル酸
- 無水マレイン酸
これらを重縮合反応させて作られます。
特徴
- 硬く仕上がる
- 研磨性が良い
- 収縮がややある
- 強度が高い
建築補修よりも自動車板金で多用される理由は、この「硬さ」にあります。
② 充填材(フィラー)
樹脂だけでは柔らかすぎるため、粉体を混ぜて粘度と強度を調整します。
主な充填材
- タルク(滑石)
- 炭酸カルシウム
- ガラス粉
- マイクロバルーン(軽量タイプ)
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 標準タイプ | タルク主体で安定 |
| 軽量タイプ | マイクロバルーン配合 |
| ガラスパテ | ガラス繊維入りで強度重視 |
■ なぜ硬くなるのか?
不飽和ポリエステル樹脂は分子の途中に「二重結合」を持っています。
そこにスチレンが架橋して三次元構造になるため、
- 熱硬化性
- 再溶解しない
- 非常に硬い
という性質になります。
■ 物性(代表値)
| 項目 | 性質 |
|---|---|
| 硬度 | 高い |
| 弾性 | 低い(割れやすい) |
| 耐水性 | 普通 |
| 耐熱性 | 約80〜120℃ |
| 収縮 | やや大きい |
■ 補修屋目線の注意点
ポリパテは
- 動く部位
- 床鳴り箇所
- 木部の膨張収縮が大きい場所
には不向きです。
理由は「弾性がない」ため。
床補修ではウレタン系や弾性パテの方が適しているケースが多いです。
■ 他パテとの比較
| 種類 | 主原料 | 特徴 |
|---|---|---|
| ポリパテ | 不飽和ポリエステル | 硬い・研磨しやすい |
| エポキシパテ | エポキシ樹脂 | 強度高・収縮少 |
| ウレタンパテ | ポリウレタン | 弾性あり |
■動く可能性のある部位には使用できない?
そんなことはありません。
収縮に対応させるためにはガラス繊維などが混合されているファイバー入りのポリエステルパテを使用します。
基本構成はポリパテと同じですが、補強繊維が大量に配合されている点が最大の違いです。
■ ガラス繊維の役割
使用されるのは主にEガラス繊維(Electrical grade glass fiber)。
数mm〜数cmにカットされた繊維が混入されています。
なぜ強くなるのか?
- 引張強度が大幅に向上
- 曲げ強度が上がる
- 割れ進行を抑制
- 衝撃に強くなる
これは繊維強化プラスチック(FRP)と同じ原理です。
樹脂が「母材」、ガラス繊維が「骨組み」という構造になります。
■ ファイバーパテの物性
| 項目 | 性質 |
|---|---|
| 強度 | 非常に高い |
| 剛性 | 高い |
| 研磨性 | 悪い(削りにくい) |
| 収縮 | ややある |
| 弾性 | ほぼなし |
■ 用途
- 自動車の穴埋め
- 錆腐食の貫通補修
- FRP成形物の補修
- 欠損部の土台形成
いわば「下地用・構造補強用パテ」です。
■ 現場での使い分け
- ファイバーパテで土台形成
- 上に通常ポリパテ
- 最終仕上げパテ
という「多層構成」で使うことが多いです。
■ ポリパテとファイバーパテの決定的な違い
| 項目 | ポリパテ | ファイバーパテ |
|---|---|---|
| 補強材 | なし | ガラス繊維入り |
| 強度 | 高い | 非常に高い |
| 削りやすさ | 良い | 悪い |
| 用途 | 面出し | 構造補強 |
■ 結論
ポリパテは「整形材」、ファイバーパテは「構造補強材」。
どちらも同じポリエステル系ですが、役割はまったく違います。
補修では、
- 動くか?
- 厚みは?
- 強度は必要か?
- 仕上げ面か?
ここを見誤ると割れ・クレームにつながります。
材料の中身を理解して選ぶことが、プロと素人の決定的な差です。
